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心と体

酪酸菌をサプリメントで摂るのは危険かも

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腸活で最近流行りの酪酸菌 サプリで摂って大丈夫?

酪酸菌とは

酪酸を産生する菌のことです。
食物の中のセルロースやヘミセルロースを嫌気醗酵し、酪酸などの短鎖脂肪酸を生成しており、これが大腸の蠕動運動等の重要なエネルギー源となります。

酪酸とは

皮膚や粘膜に対する腐食性があり、水生生物に有害である。
体外へと分泌される皮脂にも含まれており、蒸れた足などから発せられる悪臭の原因物質の1つでもある。
大腸内で産生された酪酸は、結腸の細胞で優先的にエネルギー源として利用される他、腸管増殖因子として作用し、抗炎症作用を有し、傷害腸管の修復にも関与しているとも言われている。

酪酸が大腸に与える悪い影響を示唆する新しい論文

2021年、酪酸が細胞老化誘導の主な原因物質であるとする論文が「Nature Communications」に発表された。
研究者は、当時大阪大学微生物研究所所属の奥村慎太郎(現京都大学博士)。

「大腸癌患者で異常増殖している12菌種同定し、ヒト線維芽細胞および腸管上皮細胞に投与したところ、「P. asaccharolytica」および「P. gingivalis」の培養上清がこれらの細胞に細胞老化を誘導することが判明。
さらに、成分分析等により培養上清中に含まれる短鎖脂肪酸、特に酪酸が細胞老化誘導の主な原因物質であることが分かった」との事です。
いわゆる酪酸菌が、大腸がん患者で異常繁殖しており、酪酸を産生して細胞老化を誘導しているということです。
「次にヒトの大腸癌組織を解析したところ、2つの菌は大腸癌組織に付着・浸潤し、その周囲に細胞老化マーカーを発現する細胞が存在することがわかりました。
また大腸癌組織では非癌部の組織と比較して酪酸濃度が高いこともわかりました。
従って、この2つの菌が実際にヒトの体内で酪酸を分泌することで細胞老化を誘導している可能性が示唆されました」

この論文によると、通常の組織と比較して、大腸がん組織では酪酸濃度が高いという事は、安易に素人判断で酪酸菌を摂取する事は控えた方がよさそうです。
そして次に大腸がんモデルマウスを使った実験もおこなっていました。

「最後に、この2つの菌と大腸癌の直接的な因果関係を検証するため、大腸癌モデルマウスであるApcΔ14/+マウスに菌を投与し大腸癌の発症が促進されるかどうか調べました。
その結果、P. gingivalisを投与したマウスでは大腸腫瘍数が有意に増加し、またP. asaccharolyticaを投与したマウスでも有意差はありませんでしたが腫瘍数が増加する傾向が認められました。」

(a)PBS=リン酸緩衝生理食塩水
(a)P. asaccharolytica=酪酸菌
(a)P. gingivalis=酪酸菌
(a)F. nucleatum=ポジティブコントロール(人の歯垢に存在する菌で、発がんやがんの進行を早めると言われている口腔菌)

(b)Wild type strain=野生酪酸菌
(b)Mutant strain=酪酸を産生しない菌

(c)Vehicle=P. gingivalis(酪酸菌)投与
(c)ABT-263=老化細胞破壊薬(Navitoclax)を投与
酪酸が細胞老化
出典:Nature Communications 結腸直腸がん患者で特定された腸内細菌は酪酸分泌を介して腫瘍形成を促進する
大阪大学微生物研究所 Shintaro Okumura他

(a)がんの進行を早めると言われている口腔菌よりも酪酸菌の方が腫瘍が増えている。
(b)酪酸菌投与と非酪酸菌を投与して比べると、酪酸菌を投与された方が明らかに腫瘍が増えている。
(c)酪酸菌投与中に老化細胞破壊薬(ABT-263)を投与すると、腫瘍が減少及び縮小している。
参考:論文

この論文では実験に使用した酪酸菌が発がん性なのかは今回の研究では分からないと述べています。

ただ、酪酸分泌を介して細胞の老化と腫瘍形成を引き起こす可能性を提議しています。

今後の腸内細菌叢の更なる研究が待たれます。

古い酪酸菌の論文

2005年の酪酸が有用とされる論文

酪酸生産能力の高い酪酸菌と発がん物質をマウスに投与し、前癌病変(ACF)が約40%~75%抑制された。
結果から大腸がんの形成を抑制できる可能性がある。
出典:ペット栄養学会誌 酪酸生成菌Butyrivibrio fibrisolvensの経口投与による実験的大腸癌形成の抑制
明治大学農学部生命科学科 大河 原壮, 古谷 英樹, 長島 康祐, 浅沼 成人, 日野 常男
出典:論文

元はペットに対する論文ですが、酪酸菌の有用性を示す論文として広く既知されています。
これ以外にも、2013年大腸炎の炎症抑制の論文等があります。

酪酸菌は種類も多く、人体に有用な菌も沢山いますが、実際に発がんや腸炎が確認されている酪酸菌も存在します。
酪酸が有用なのか、酪酸産生の他に何らかの有用な作用をしてくれるのか、古い論文では研究途上と言わざるを得ないものが多いのも事実です。

ただ、新しい論文では酪酸が老化細胞の増殖を促しているという事が分かりました。
今後は酪酸というものの研究が、より一層進むことを期待したいところです。

都市部と田舎での腸内細菌叢の調査

2019年の理化学研究所と京都府立医科大学が共同で行った「京丹後長寿コホート研究」は、京都市内と京丹後市に住む65歳以上の市民に行った腸内細菌叢の研究ですが、100歳以上の人口が京丹後市では京都市内の2倍近い、結果、京丹後市の腸内細菌叢の酪酸菌比率が高い事が分かったというものです。

一市町村の結果なので、酪酸菌がどのくらい長寿に関係しているかは分からないものの、京丹後市という田舎のシニアの食生活は京都市内のシニアに比べ酪酸菌が好む食事(麹や海藻等)を摂取している事は推測できます。
因みにビフィズス菌の量はほぼ同じでした。

ただし、この結果だけでは酪酸菌が長寿に関与しているのか、他の何が関与しているのかは難しい様にも思います。
海外の研究では、農村部住む人の腸内細菌叢は都市部よりビフィズス菌が多いという研究結果もありますから、これとも一致していません。

酪酸菌のサプリは大丈夫?

サプリメントでの摂取も規定量を守っていれば問題なさそうですが、規定量を超えて沢山摂取する事はやめた方がよさそうです。
因みに、国産メーカーのサプリメントに入っている酪酸菌は、国産のClostridium butyricum(CBM 588)の可能性が高いと思います。

「CBM 588のヒトのアジア人集団における安全な歴史は、高齢者、妊婦を含む幼児から免疫無防備状態の患者及び入院患者までのCBM 588の使用報告を含む、1963年に遡る様々な査読済みの出版物及び事例研究によって裏付けられている。」
出典:Wikipedia
との事で、腸炎の医薬品としても使用されているので安全が担保されているそうです。
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