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仮説・持論

障碍者への虐待が、高齢者への虐待より多いのは?

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2024年2月10日、共同通信の記事でこんなものがあった。
「障害者への虐待、ちょっと多すぎない?福祉施設では高齢者の7倍超の計算に…根底に「自分とは違うから」という差別意識か」というものだ。

記事は冒頭でこう述べている。
「福祉施設での虐待被害を見ると、利用者自体は高齢者のほうが障害者より圧倒的に多いのに、虐待件数では逆転していた。単純に計算すると、障害者のほうが7倍以上も被害に遭っていることになる」

そして記事はこう締めている。
「激しい行動障害がある人の支援をしていれば、職員がけがをするのは日常茶飯事。
人手不足や人間関係の悪さなどが重なり、精神的にしんどくなれば、誰だって言動が荒れるだろう。
 軽微な段階で職員が「やってしまった」ということを周りに相談でき、早期に虐待の芽を摘んでいく職場環境やトップの理念が必要だと思う。」

共同通信の記事を書かれた方は、日本社会事業大学の曽根直樹教授。

曽根直樹教授の過去の論文には下記のようにも書かれている。
「暴行した職員全員が「周りが暴行していたので感覚がまひしてやってしまった」
と供述している。
「密室」で生まれる職場の風土に抵抗することは難しい。
虐待防止を職員個人の自覚に任せるのではなく、組織として取り組む必要がある。
有効なのは外部の目を入れることだ。虐待防止委員会に施設外の人を入れ、普段から出入りしてもらい、気になる支援の指摘を受けると緊張感が保てる。」

さて筆者の周りには、「高齢者施設や障がい者施設で働いている者」、「一般の障がい者通所施設を運営している者」、「子供の障がい者通所施設を運営している者」がいる。
そしてその多くが気の知れた仲間や知り合いである。
なので結構本音が語られる。

どちらの運営者も、障がい者施設を登録&開業するにあたり、国の補助金を目的にしており、儲かるものと見込んで施設を開設している。
ただし、資本主義の世の中で民間人が開業するにあたり、この考えは至極当然であり、正常な物の考えであることは理解できる。
しかしながら現実では経営に四苦八苦しているのが現状である。

では、働いている人たちはどうだろう。
こちらもボランティア精神だけで働いている人間は、私の周りには残念ながら存在しない。
みんな、他に自分に有利な働き口が見つからないから、仕方なく障がい者施設や高齢者施設を選んでいるのが現状だ。
しかし、とは言っても、ある共通点は見て取れる。
全員が割と優しい性格で、頼まれごとを断れないタイプで、見た目がおとなしいという事だ。
いわゆるストレスをため込みやすいタイプの人間である。
もちろんこれは筆者の周りに限るので、全般に言える事ではないかもしれない。

そして、仕事の対象となる障がい者は、病気がちでおとなしくて体力が無い障がい者もいると思うが、往々にして元気であると言える。
体力も十分ある者も多く、腕力が非常に強い者もいる。
稀だが入れ墨が多数入っている者も見たことがある。
そして、一般の人間ではありえない様な文句が出てきたり、利用者からの予期できない暴力がつきまとってくるのも障がい者施設特有であろう。

障がい者施設には必ずケアマネージャーを在籍させないといけないというルールがある。
ケアマネージャーは、相談援助業務(医療機関や介護施設等の実務)を通算5年以上かつ900日以上行っている事が条件で試験を受ける事ができ、合格後も実務研修87時間を必須とする仕事である事から、虐待を自らがおこなうということは現実的には少ないと思わる。
そしてケアマネージャーの給料は看護師と同等。

現実では難しいが、職員すべてケアマネージャーを雇用すれば、虐待は激減することは間違いないが、そんなことが出来る施設はほぼ皆無と言ってよい。
筆者の知り合いの施設では、子供の障がい者施設のケアマネージャーの給料が約50万円弱。
一般の障がい者施設のケアマネージャーの給料が約30万円
全ての職員をケアマネージャーもしくは同等レベルの職員にする事は、いくら補助金がもらえるとは言え、儲けを出したい運営者にとってはできない相談である。

そして、このような施設で働く一般的な職員は、バイトも含め、精神的苦痛に見合う給料が中々もらえないのが現実である。

筆者の聞いた事実で言うと、送迎を職員一人でさせられる場合が多く、ずっと奇声をあげられたり、女性職員は信じられない(胸を激しく引っぱられる等)様なセクハラを受ける事もしばしばあるらしく、男性職員も殴られる等の暴力を受ける事もあるという。
精神的苦痛や身体的苦痛は計り知れない。

もちろん運営者が人並外れた人徳の持ち主であればいざ知らず、基本的に多くの施設運営者は出来るだけ何とか利益を出したいと考えるものである。
そうなると職員は仕事環境に多くのストレスを抱える事になる。
それが、利用者への虐待につながらないと言えばうそになると思う。

そこで曽根教授が言うように、有効策は「外部の目を入れる事」が有効に思える。
ただ、虐待防止委員会に外部の人間を入れると言うのは、現状を打開できる策とは考えにくい。
虐待防止委員会の長が施設の管理者である以上、鼻薬をかがせられれば元もの木阿弥である。

有効策になりそうなものは、抜き打ちで防犯カメラ映像の提出や解析を役所や分析専門の会社が担う事だろうか。
そして一番は、それらの精神的身体的苦痛を受け入れられるだけの報酬を職員が受け取れるように、もしくはそれら苦痛をを分散できるように人員を増やすための補助金増額が良いのであろう。
しかしこれには非常に多くの公費がかさむことは事実である。
それだけの公費を使ってでも障がい者への虐待を減らす事を多くの国民が受け入れられるかどうかが一番の問題かもしれない。

他には有効策かどうかは分からないが、現状、通所に通う障がい者は、あちこちの施設を掛け持ち利用してる。
通所に通う障がい者の楽しみが減ってしまう懸念はあるが、通所障がい者施設を淘汰して、虐待の多い入所障がい者施設に上記のような理由で補助金を増やすのも方法の一つかもしれない。

それくらいしなければ、このような問題は減らないのではないだろうか。
人が人を仕事として介護する限り。

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